Quartz with yellow tips 
 
 
 
 
 

   品 名:       黄色水晶 (マンゴークォーツ)
   Mineral Name:   Quartz with yellow tips (Mango Quartz)
   産 地 (Location): Cabiche, Municipio de Quipama, Boyaca, Colombia
   サイズ (size):    9.5 X 7 X 4.7 cm
   登 録:       2019年12月


   コロンビアの黄色水晶の再々登場です。
   放射状に火矢が放たれたような形に惹かれました。
   何度も同じ標本に手を出してしまうのは、この産地の水晶に惚れ込んでいるから・・・
   シングルポイントの標本が沢山、コロンビアからオークションに出品されています。
   今は珍しくも何ともありませんが、この標本も枯渇すれば、あっという間に市場から
   姿を消すことになるでしょう。
   水晶コレクターとしては、今の内に、これはという標本を集めておこうという魂胆です。
   この形の水晶は、コロンビア以外では二度と出ないでしょう。
   そういう希少性がコレクターを惹き付けるのです。



 
 
 


   品 名:       黄色水晶 (マンゴークォーツ)
   Mineral Name:   Quartz with yellow tips (Mango Quartz)
   産 地 (Location): Cabiche, Municipio de Quipama, Boyaca, Colombia
   サイズ (size):    7 X 4 X 5 cm
   登 録:       2019年6月

   上の標本は、新宿ショーで購入したもの。
   ニードルクォーツがスプレー状に大きい3本の水晶の周りを飾っていて、実に繊細で
   美しい。3本目の白っぽい水晶は、ブルーミストになっていて、水晶コレクターには
   たまらない組み合わせになっている。

 
 
 
 
 


   品 名:       黄色水晶 (マンゴークォーツ)
   Mineral Name:   Quartz with yellow tips (Mango Quartz)
   産 地 (Location): Cabiche, Municipio de Quipama, Boyaca, Colombia
   サイズ (size):    12 X 10 X 8 cm
   登 録:       2019年4月

   こちらは、欧州から取り寄せした大型の標本です。
   幾分、先端の黄色が薄目ですが、大型で迫力のあるクラスターになっています。



   黄色水晶 (マンゴークォーツ)の説明
   

   <はじめに>

   2019年のツーソンショーや新宿ショーでコロンビア産の黄色水晶が出品されていました。
   マンゴークォーツなどという商品名が付いていました。

  後で知ったのですが、Fire flame Quartz 「火炎水晶」という呼び名もついていました。
 「炎を灯している水晶」の方がロマチックな呼び名でいいと思うのですが・・・


   透明な水晶の先端部だけ黄色からオレンジ色に色着いた水晶で、スプレー状のニードル
   クォーツは、とても繊細で、黄色の帽子を被ったような外観は、とても愛らしく美しい水晶です。
   個人的には、最高のお気に入り標本です。
   2004年に入手時には二度と出ないと思っていましたので、再登場に興奮を覚えました。


   <産地>

   コロンビアのエメラルドの産地ムゾー鉱山近くのCabiche

   Cabicheは、コロンビアの首都ボゴタから北に約100マイル離れた、コロンビアのアンデス山脈
   のふもとの丘陵地帯、コロンビア東部のエメラルドベルトに位置しています。図-1

   ここでは、白亜紀(66〜1億500万年前)の石灰岩の空隙部に火山活動による熱水が侵入して、
   二次鉱物が生成されたと考えられている。

   鉱山は、Cabiche とQuipamaを結ぶエメラルド採掘地帯を通る道路上の山の斜面にある
   石英鉱脈で採掘されている。
   石英鉱床は、地面近くにあり、現地では露天掘りをしているようです。図-2

     
    図-1 Cabiche 地図            図-2  道路上の採掘現場

   <歴史>

   最近見つかったように報道されていますが、実は1980年代に最初の標本が発見されていました。
   エメラルド鉱山のボス・カランザは、この水晶の希少性を見抜き、何と全ての黄色水晶を門外
   不出にし独占してしまったのです。
   その彼が2013年に病没。その後、この黄色い水晶は、忘れさられていました。
   処がカランザの採掘から40年後の2017年冬に黄色の石英鉱床が再発見されたのです。
   その場所は、最初の採掘場所近くの山の斜面にありました。地元の農民の子供が、
   石灰岩の割れ目の奥に黄色い水晶のクラスターが眠っているのを発見したのでした。図-3


      
      図-3  ポケット内の黄水晶                  図-4  色の多様性


   採掘品は、洗浄のために酸の浴槽で化学洗浄が行われたため、水晶頭部に空いている
   ピンホールから酸が侵入して短時間で脱色してしまいました。
   運良く生き残った一部の標本がアメリカ市場へ流れ、高値を呼んだのでした。

   最近になって、洗浄方法が改善されコロンビアの黄色水晶が沢山、標本市場に登場して
   価格も落ち着きを取り戻したようです。

   エメラルド鉱山のボス・カランザが秘蔵した初期の黄色水晶は、その後行方不明になっている。

   エメラルドの顧客に販売したという噂もあり、それが本当ならば、私が2004年に購入した標本は、
   将にカランザが秘蔵した初期の採掘品と考えられる。


   <コロンビア黄色水晶の形態>

   この水晶の頭部は、階段状または裂けたような形状が特徴的である。
   またルーペで観察すると錐面には小さいピンホールが空き、そこから繊維状介在物が水晶内部
   に浸透しているのが分る。
   このような形態は、水晶の成長過程で繊維状介在物に成長が阻害され、再結晶化したため
   にできたようです。


   <封入色の多様性>

   Cabicheの水晶は、図-4に示す通り、黄色以外にオレンジ・白・コーヒー色などの色の多様性
   を示しています。

   ・発見初期のロットは、繊細な針状クォーツが多く、水晶の先端部に色が集中したタイプでした。

   ・2018年の春に見つかったタイプは、明るいオレンジ色をしていました。
    このタイプは、再発見場所の上下の場所から見つかっている。

   ・白い繊維状含有物を含むタイプは、再発見場所の左右の地区から見つかりました。

   ・コーヒー色の含有物入りタイプは、道路の下の地区から見つかっています。

   ・太目の水晶では基部から中央部にかけて青っぽモヤが掛かったブルーミストが認められる
    ものもある。



   <インクルージョンの分析結果>

   2018年になってアメリカのマイアミ大学地質学科が分析した結果、黄色の含有物がHumboldtineと
   確認されました。

   Humboldtineとは、シュウ酸塩鉱物の蓚鉄鉱という耳慣れない鉱物です。

   しかし、この結果は後に否定されました。

   Humboldtineの組成式: Fe2+(C2O4)·2H2

   現地では、水晶のクリーニングにシュウ酸が使われており、その影響と考えられたからです。

   その後、水晶内部の繊維状含有物を分離し(図-5)、再度、分析に掛けた結果、
   酸素、珪素、アルミニウム、ナトリウム、鉄、クロムと微量のカルシウムが検出されている。図-6


   その検出結果から含有物は、非晶質の珪酸塩鉱物を示唆しており、現在、最も可能性が高い
   候補として粘土鉱物のHalloysite(ハロイサイト)が有力視されている。

   粘土鉱物のHalloysite(ハロイサイト)の組成式: Al4Si4O10OH8・4H2O




    
     図-5 繊維状含有物                図-6 繊維状封入体から得られたEDSスペクトル


   <参考出典> Rocks & Minerals Vol 94  No: 3


    ※上記図-2~図-6までの写真の所有権は、マイアミ大学地質学科にあります。